2019/2/4 投資

【専門家が語る不動産投資】投資物件購入の「物件選びのポイント」とは?

「物件選びのポイント」は「目的」によって異なる

不動産投資の物件購入する際の物件選びのポイントについて整理してみたいと思います。
不動産コンサルタントの仕事をしていると、よく、「いい投資物件があったら教えて下さい!」と言われることがありますが、「いい物件」とは一体、どういう物件でしょうか?
もちろん、特段のネガティブな事情がないのに、相場より圧倒的に安く、持っていても利回りが高くて儲かる、売却しても転売益が出て必ず儲かるような物件があれば、誰にとっても「いい物件」と言えるかもしれません。
しかし、そういった超掘り出し物件が一般の方に回ってくる確率は非常に低いのが実情です。

では、どういう物件が「いい物件」なのかというのは一概には言えないと思いますが、少なくとも物件評価の側面からは、「いい物件」は「購入の目的によって異なる」と言えるでしょう。
例えば、地主・資産家の方が「相続税対策」を目的として投資物件を購入する場合と、会社員の方が銀行から融資を受けて複数物件の買い増しを視野に入れた上で、「副収入獲得」を目的として投資物件を購入する場合とでは、物件評価の側面による「いい物件」の基準は全く異なってくるからです。

購入目的別の物件選びのポイント

それでは、「目的」別に「物件選びのポイント」を具体的に掘り下げて行きましょう。

①目的:相続税対策、対象:地主・資産家等の場合

相続税対策として投資用不動産を購入するのは、相続財産の課税評価額(以下、「相続税評価額」という)を下げて、相続税額を減らすためです。
相続税を算出する際に計算される財産は、「プラスの財産」とされる、現金・預金や株式、土地、建物、生命保険金などの評価額の合計から、「マイナスの財産」とされる借入金や税金、買掛金など、加えて葬儀費用などを差し引くことで求められます。
現金・預金や有価証券は時価で評価されるのに対し、不動産である建物と土地は時価でなく次のような基準で評価されるため結果として、他の資産に比べて相続税評価額を圧縮することが出来ると言われています。

建物の評価額:「固定資産税評価額」が用いられます。
固定資産税評価額は、一般的に、建築費用の50~60%程度の評価となることが多く、その分、相続税評価額を圧縮できます。
また建物を賃貸している場合は、評価額が固定資産税評価額から更に30%が控除されます。

土地の評価額:基本的に「路線価方式」(路線価が指定されていない地域の場合は「倍率方式」)で評価されます。
路線価方式では、その土地が面している道路に付けられている「路線価」に対して、土地の面積をかけることで評価額を計算できます。(土地の形状が複雑な場合などは、一定の補正を行います。)
路線価は国税庁のホームページ「財産評価基準書」に掲載されています。
一般的には、路線価方式で評価された場合、地価公示価格の80%程度の評価が目安となります。
(参照:https://pro.mf-realty.jp/column/detail/68/
また、その土地上の建物で賃貸経営をしている場合は、「貸家建付地評価」となり、さらに評価額を20%前後、圧縮することが可能となります。
加えて、小規模宅地の特例まで使用することが出来れば、そこから更に大幅に評価額を減らすことが可能です。
更に、物件購入に当たって、融資を受ける場合、借入金は相続税評価額から差し引くことが出来るので、節税効果を発揮します。
このように、賃貸不動産は、相続税評価額を圧縮する効果があるため、相続税対策に多く用いられます。この評価減の効果を大きくする物件というのは、「時価」と「相続税評価額」の乖離が大きな物件(「時価」より「相続税評価額」が低い)と言うことが出来ると思います。

例えば、市場価格3億円の物件の相続税評価額が1.5億円といったケースです。こういった物件は、「相続税評価額」の圧縮効果が高い、つまり相続税の節税効果が高いと言えるでしょう。
路線価は、実勢価格の80%程度を目安として設定されることになっていますが、実際には地域によって、バラツキが大きく、東京都心部では、路線価が実勢価格の50%程度といった地域もあります。一方で、地方では、逆に、路線価が実勢価格を上回っているところもあります。
ですので、相続税対策としては、一般的に東京都心部の物件のほうが地方の物件よりも、節税効果が高くなり、投資対象として適していると言えるでしょう。

②目的:副収入獲得(複数購入)、対象:会社員・会社経営者等の場合

次に、新規で融資を受けて複数の投資物件を購入し、副収入獲得を目的とする投資家タイプの方にとっては、上記①のような、「時価」より「相続税評価額」が低い物件は、「いい物件」には該当しづらいと言えます。
なぜなら、日本の金融機関では、不動産に融資するに当たって、物件担保力を重視しており、一般的に「収益還元評価」よりも、「積算評価」に重きを置く傾向があります。(金融機関によるバラツキはあります)
「積算評価」とは、土地評価と建物評価の合計で不動産を評価する方法です。
なお、「収益還元評価」は、不動産から得られる家賃といった収益をベースに評価する方法となります。

積算評価=土地評価+建物評価
土地評価=路線価×土地面積
建物評価=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数

構造 法定耐用年数(住宅用) 再調達価格(㎡)
木造(W造) 22年 15万円
(12~16万円)
軽量鉄骨造(S造)
骨格材の肉厚3mm超4mm以下
27年
(骨格材の肉厚3mm以下の場合は19年)
15万円
(12~17万円)
重量鉄骨造(S造)
骨格材の肉厚4mm超
34年 17万円
(17~18万円)
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年 20万円
(18~20万円)
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 47年 20万円
(20~22万円)

金融機関が「積算評価」を重視するということは、融資を受けるためには、「積算評価」が高い物件が有利ということになります。①の地主タイプの方とは異なり、他に担保となる不動産を所有していない投資家タイプの方の場合には、とりわけ、「積算評価」が高い物件、つまり、「積算評価」>「売買価格」といった物件のほうが「いい物件」に該当する傾向が強いでしょう。
「積算評価」が高いということは、「相続税評価額」も高くなりますので、①とは逆の物件タイプとなります。
なお、「積算評価」>「売買価格」という物件は、地方で土地面積が広く、建物は比較的、築年数が浅めの鉄筋コンクリート(RC)造の物件が該当しやすい傾向があります。

③目的:節税(法人税、所得税・住民税)対策、対象:利益が多く出ている法人・自営業者、高額給与所得者等の場合

続いて、法人税、所得税・住民税の節税に重きを置く投資家のタイプの方の場合には、「減価償却費」を多く計上できる物件のほうが、節税メリットが大きくなります。
(参照:https://pro.mf-realty.jp/column/detail/215/

ということは、物件価格に占める建物価格の割合が高い物件のほうが、「減価償却費」を多く計上できるため、好まれます。
また、減価償却の年数については、既に法定耐用年数を経過している物件が、短期間で償却が可能なため、好まれる傾向にあります。
例えば、木造アパートの場合、法定耐用年数が22年のため、築22年を超えた物件を購入した場合、建物の減価償却は4年間で償却することになり、節税対策として活用される場合が見られます。

築年数が法定耐用年数を全て経過した場合:耐用年数=法定耐用年数×0.2(端数切り捨て)
築年数が耐用年数を全て経過していない場合:耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2(端数切り捨て)

一方で、出口(売却)を強く意識する方の場合は、逆に土地値を重視しますので、土地割合が高く、土地値だけで売買価格とイコールまたはオーバーしているような物件が好まれますので、③のタイプとは物件選びのポイントが異なってきます。

以上のように、「購入目的」によって、どのような物件評価の物件が適しているかは大きく異なります。
さて、あなたはどのタイプに当てはまるでしょうか?

その他の物件選びのポイント

ここまでは、物件の「購入目的」と「物件評価」の側面で、物件選びのポイントを整理してみましたが、もちろん、上記は、一つの切り口に過ぎません。
不動産は金融のペーバー資産と異なり、実物資産です。
当然、立地、土地の形状や地盤、津波や洪水などのリスク、建物の状況、管理状況、賃貸需要、入居者の内容、周辺環境、事件・事故の履歴など、様々なチェックポイントがあります。
また、事前に確認すべき資料・情報なども多くありますので、個別に精査が必要となります。
今回のコラムをご参考に、ご自分の「購入目的」と照らし合わせ、物件選びの方向性を定めた上で、ぜひ、個別に物件の精査を行い、購入を進めるようにして頂ければ幸いです。


プロフィール

星 龍一朗

星 龍一朗
リアル・スター・コラボレーション(株) 代表取締役

不動産投資のセンカンドオピニオンとして活躍。
1967年生まれ 大手不動産流通会社、不動産投資アセットマネジメント会社などを経て独立。
主に個人向けに不動産投資、賃貸経営のアドバイスや講座・セミナーを通じて、資産形成をサポート。セカンドオピニンとしてのコンサルティングを提供。

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