2020/10/2 経済

【不動産投資コラム】コロナ禍で起きている賃貸ニーズの変化

新型コロナ感染問題の収束の見通しが立たない状況下ですが、不動産市況に対する影響が、データにも表れてきています。
今回は、コロナ禍における住宅、オフィスなどの賃貸ニーズの変化・影響などについて、2020年9月末時点の状況を整理してみたいと思います。

住みたい街ランキング(賃貸)に異変!

不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」等の住生活情報サービスを提供する株式会社LIFULL(ライフル)が、2020年9月上旬に「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」を緊急発表しました。
これによると、テレワーク浸透の影響か、4年連続1位の「池袋」が5位に、「三軒茶屋」「川崎」などの人気エリアもランクダウン。ユーザーの注目が首都圏郊外部に拡散している傾向があり、1位は、「本厚木」でした。

借りてみたい街(駅)ランキング
<出典>LIFULL HOME‘S(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000033058.html

「大宮」「千葉」「八王子」「津田沼」「立川」「八潮」「平塚」など、東京23区の街に比べ都心・近郊の事業集積地へのアクセスに時間がかかる街が上位に多数登場しています。 郊外のターミナル駅で駅勢圏が比較的広く、生活利便性がある程度担保できそうなエリアの人気が高まっており、コロナ禍で都心・近郊の生活利便性よりも準近郊および郊外の相対的な安全性や安心感、在宅勤務にも適した住環境が叶うエリアであることを重視して街選びをしようという意向が反映された形です。
また、併せて発表された前年同時期と比較した「LIFULL HOME'S コロナ禍での問合せ数増加率ランキング」首都圏版では、千葉県郊外が上位を占めました。

問い合わせ増加率ランキング
<出典>LIFULL HOME‘S(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000033058.html

上記の通り、2019年の同時期と比較して、2020年に賃貸ユーザーからの問合せ数増加率が最も大きかったのは「八街」(対前年同期比146.2%)。2位は「姉ヶ崎」(同140.3%)、3位は「大網」(134.7%)と「トップ3」は千葉県郊外エリアの街が占めました。
4位以下にも「相模原」(同133.8%)、「小田原」(同127.9%)などいずれも都心から50km圏を超えるエリアに位置する街が並んでおり、コロナ禍における賃貸ユーザーの「郊外化志向」が明確に表れる結果となっています。

逆に、「コロナ禍での問合せ減少率ランキング」首都圏版では、大学のオンライン講義化の影響もあってか、減少率1位「秋葉原」は5割強減、「新宿」「高田馬場」など学生で賑わう街も大幅に減少しています。

問い合わせ減少率ランキング
<出典>LIFULL HOME‘S(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000033058.html

2020年4月に入学した大学生は、コロナ禍を受け通学する機会がないままリモートで授業を受けている場合も多く、教育機関所在地周辺および沿線周辺に居住する必要がないことが、「学生街」の問合せ減少に繋がっている可能性があります。

このように、コロナ禍におけるテレワーク化、リモート授業などの浸透により、賃貸ニーズのエリア(住みたい街)に、大きな変化が生じています。 コロナが収束した際には、ここまで顕著な傾向が続くとは考えられませんが、コロナ禍でテレワークが普及したことなどにより、郊外や地方へ移住を考える人や、実際に移住する人が増えることが予想されます。

テレワーク「導入率」緊急調査結果

テレワーク導入率
<出典>:東京都(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/12/documents/10.pdf

地方移住への関心

地方移住への関心
<出典>内閣府(https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/shiryo2.pdf

上記の通り、地方移住への関心は、年代別では20歳代が高く、20歳代の中でも地域別では東京都23区内の人の関心は高いことが分かります。

コロナの影響で企業のオフィスニーズはどう変わるのか?

株式会社月刊総務が、全国の総務担当者303名を対象にオフィスに関する調査を実施したところによると、新型コロナの影響で約7割がオフィスの見直しを実施・検討し、見直し内容の1位は「占有面積縮小」という結果が出ています。

オフィスの見直し
オフィスの見直し

<出典>月間総務(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000060066.html

実際に、2019年まで1%台と低水準であった東京のビジネス地区の平均空室率が、2020年に入って上昇に転じ、3%台になったというデータも発表されています。
業種・職種にもよりますが、テレワークでも、十分に仕事が遂行できるということに気づいた企業や従業員は多く、今後も、オフィスの一部解約、縮小移転、フリーアドレス化、コワーキングスペースなどのシェアオフィスの活用など実施する企業が増加する傾向が続くことが予想されます。

基準地価は全国平均で3年ぶりに下落に転じる

2020年9月に国土交通省が都道府県地価調査(基準地価。2020年7月1日時点の地価)を公表しました。それによると、全国平均では、全用途平均は2017年以来3年ぶりに下落し、用途別では、住宅地は下落幅が拡大し、商業地は2015年以来5年ぶりに下落に転じました。
三大都市圏において、住宅地は東京圏、大阪圏が2013年以来7年ぶりに、名古屋圏は2012年以来8年ぶりに下落に、商業地は東京圏、大阪圏で上昇を継続しましたが上昇幅が縮小し、名古屋圏は2012年以来8年ぶりに下落に転じました。
また、地方圏において、全用途平均・住宅地は下落幅が拡大し、商業地は昨年の上昇から下落に転じました。

圏域別・用途別対前年比平均変動率

前年平均変動率
<出典>国土交通省(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001364444.pdf

地価の下落要因の一つとして、コロナによるインバウンド(訪日客)需要の消失の影響も挙げられます。

まとめ

このようにコロナ禍にあって不動産市況へのマイナスの影響がデータとして表れている状況ではありますが、過去と比較すると、2008年のリーマンショックのときのような金融危機とは状況が異なっていると思います。
リーマンションショックの時は、不動産取引の血液にあたる「マネー」が止まってしまったため、不動産市況へ全面的にネガティブな影響が拡大しましたが、今回は、金融危機には至っておらず、また、コロナ危機を脱するための国・自治体の予算やコロナ対応融資、補助金、給付金などの「マネー」が市中に供給されています。
コロナの収束のタイミングや内容のいかんによっては、早期に需要が回復する分野もあると考えられます。従って、必要以上に悲観的にならず、情勢を注視して行く必要があるのではないでしょうか。
地方移住、二拠点居住、他拠点居住、ワーケーション、リモートワーク(テレワーク)、仮想オフィス、不動産分野でのシェアビジネス(シェアリングエコノミー)の拡大など、様々なキーワードが話題に上がっています。
コロナの影響が長期化するのかどうか、来年の東京オリンピックが開催できるのか等、まだまだ不透明な状況ではありますが、このピンチを変革のチャンスと捉えて行きたいものだと思っています。


プロフィール

星 龍一朗

不動産投資のセカンドオピニオンとして活躍
星 龍一朗

リアル・スター・コラボレーション(株) 代表取締役
1967年生まれ 大手不動産流通会社、不動産投資アセットマネジメント会社などを経て独立。
主に個人向けに不動産投資、賃貸経営のアドバイスや講座・セミナーを通じて、資産形成をサポート。セカンドオピニオンとしてのコンサルティングを提供。
https://www.dragon16star.com/

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