2024/10/3 投資

不動産における減価償却|第1部 不動産における減価償却の重要性

不動産における減価償却

不動産投資を考える際、減価償却の概念を理解することは欠かせません。減価償却とは、資産の価値が時間とともに減少することを会計上で反映させる手法であり、主に建物などの有形固定資産に適用されます。不動産投資においては、この減価償却を適切に活用することで、節税対策やキャッシュフローの改善を図ることが可能です。今回は「不動産における減価償却」について以下のような3部構成で解説していきます。

第1部 不動産における減価償却の重要性
第2部 中古不動産の減価償却
第3部 不動産の売却時における減価償却

第1部では、不動産における減価償却の重要性について解説します。

減価償却の基本的概念と仕組み

減価償却とは、主に建物や機械設備といった有形固定資産の取得費用を、資産の使用可能な期間(耐用年数)にわたって分割して経費として計上することを指します。たとえば、建物を購入した場合、その建物の購入費用を一括で経費として計上するのではなく、長期にわたって少しずつ費用を計上していくことになります。これにより、取得した年度だけに費用が集中するのを防ぎ、安定した財務計画を立てることが可能となります。
減価償却は主に「定額法」と「定率法」という2つの方法で計算されます。定額法は毎年同額の費用を計上する方法で、定率法は資産の残存価値に対して一定の割合を掛けることで、初年度に多くの費用を計上し、徐々に少なくしていく方法です。どちらの方法を選択するかは、投資家の戦略や税制の状況によりますが、日本の法人税法では一般的に定額法が用いられています。

不動産の法定耐用年数と計算方法

不動産の法定耐用年数と計算方法

不動産の減価償却において重要な要素の一つが「法定耐用年数」です。法定耐用年数とは、税法上で定められた資産の使用可能な年数を指し、この年数に基づいて減価償却が計算されます。たとえば鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造の建物は47年、木造建物は22年というように、建物の構造や用途によって異なる法定耐用年数が設定されています。

耐用年数に基づく減価償却費の計算は、以下のように行われます。

1.まず、建物の取得価格から土地の価格を差し引きます。土地は減価償却の対象外であるため、減価償却の計算には含まれません。

2.次に、建物の価格を法定耐用年数で割ることで、年間の減価償却費を算出します。

3.この減価償却費を毎年の経費として計上します。

たとえば、2,000万円で購入した鉄筋コンクリート造の建物の場合、土地価格が500万円であれば、減価償却対象となる建物価格は1,500万円です。法定耐用年数が47年であるため、年間の減価償却費は約31.9万円となります。

減価償却を活用した不動産投資のメリット

減価償却を活用した不動産投資のメリット

減価償却を活用することで、不動産投資においてさまざまなメリットを享受することができます。第一に、減価償却費を経費として計上することで課税所得を圧縮し、結果的に税金を軽減することが可能です。特に不動産投資においては、建物の減価償却が大きな節税効果をもたらします。

また、減価償却はキャッシュフローの改善にも寄与します。減価償却費は実際の支出を伴わない費用であるため、手元資金に直接影響を与えません。そのため、減価償却費を計上することで税負担を軽減しつつ、キャッシュフローを維持・向上させることができます。このような仕組みは、不動産投資家にとって非常に魅力的なものです。

さらに、減価償却は資産運用戦略の一環としても活用できます。たとえば、投資物件を購入して一定期間の運用後に売却する際、減価償却によって計上された経費はキャピタルゲイン課税を抑える一助となります。また、減価償却が適切に行われることで、税務リスクを回避し、長期的な資産保全を実現することができます。

減価償却の仕組みを理解し上手に活用を

不動産における減価償却は、税務対策やキャッシュフローの改善、資産運用戦略の一環として極めて重要な要素です。特に不動産投資を行う際には、減価償却の基本的な仕組みを理解し適切に活用することで、投資の成果を上げることが可能です。減価償却を上手に活用することで、長期的な利益を追求しつつ税金負担を軽減し、安定した財務運営を行うことができるでしょう。

次回は中古不動産の減価償却に関する基本的な計算方法や注意点、さらには投資戦略としての活用法について具体的に解説します。


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