2023/3/14 相続

相続と事業承継|第2部 「相続・事業承継の事前対策は?(個人編)」

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不動産を保有していると「高齢になり脱大家したい。」「次世代にかかる相続税が心配・・。」「子どもに承継すべき不動産はどれか?」「そもそも後継者がいない。」「法人化したものの廃業すべきか」などと悩んでいる方は少なくありません。
第1部「相続と事業承継とは?」
第2部「相続・事業承継の事前対策は?(個人編)」
第3部「相続・事業承継の事前対策は?(法人編)」
以上3部構成で掲載します。今回は第2部「相続・事業承継の事前対策は?(個人編)」について掲載します。

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Q:相続・事業承継の事前対策はどんなものがありますか?

A:個人では、小規模宅地の特例・生命保険の活用・生前贈与・非課税財産の生前購入などがありますが、令和5年度税制改正に留意する必要があります。

不動産を後継者へ引き継ぐ際の事前対策として、不動産評価の見直しの一環として小規模宅地等の特例の活用などがあります。ここでは、事業承継での金銭的な負担を軽減し、より円滑に事業承継を進めるためにできることを検討します。

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小規模宅地の特例

住宅や事業に使われていた宅地がある場合には、その宅地等の評価額の一定割合を減額する特例があります。特定居住用宅地に該当する場合330㎡まで80%の評価減、特定事業用宅地に該当する場合400㎡まで80%の評価減、貸付事業用宅地に該当する場合200㎡まで50%の評価減が受けられます。「自宅があるものの330㎡超えていて一部未利用になっている」場合は一部売却して、収益用不動産に組み替えるなど事前対策の余地があります。

生前贈与・生命保険の活用・非課税財産の生前購入

親が子に110万円ずつ暦年贈与するケースがありますが、これまでも相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産は相続財産に加算され相続税の課税対象とされてきました。令和5年度税制改正により相続税の対象になる贈与が3年以内から7年以内に段階的に延長されます。教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(1,500万円が限度)は適用期限が3年延長され、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置(1,000万円が限度)についても適用期間が2年延長されます。

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タワーマンションへの組換

相続税負担は、相続税の課税価格の増加とともに大きくなります。相続税の課税価格は、個々の財産の相続税評価額の合計額です。相続税評価額は、課税実務上、国税庁が定めた「財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)」に基づき、土地は路線価により、建物は固定資産税評価額により算定します。不動産の相続税評価額は、一般には、売買時の取引金額(時価)より低いため、相続税対策としては、キャッシュで不動産を購入することにより相続税評価額を圧縮する方法があります。特にタワーマンションはこの圧縮効果が高いこともあって、タワーマンションへ組み替える手法が盛んに行われてきたところです。

マンションへの組替と最高裁判決

相続開始の3年程前にマンション2棟を購入し、評価通達に基づき評価して相続税の申告をしましたが、その相続税評価額は時価と大きく乖離しているとして税務当局に否認された事例があります。最高裁まで争いましたが、最終的に課税処分は適法とされました。相続税法では、各財産の評価額は、「時価」によるとされており、その「時価」は「評価通達」に基づいて算定されるのが原則です。しかし、この評価通達には総則第6項というものがあり、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」旨記載されています。今回はこの総則第6項が適用され、上記原則が否定されました。相続開始直前に購入した投資用不動産は時価評価とされるリスクがあること、相続開始直後の投資用不動産の売却は時価評価とされるリスクがあることに留意して、早めの相続税対策をすることが必要です。

令和5年度税制改正大綱では資産課税について資産移転の時期の選択について中立的な税制の構築を掲げています。今後は、相続発生の直前対策ではなく、現役世代から次世代への承継について早めの対策が必要となります。信頼できるパートナーとして、投資用事業用不動産のプロフェッショナルとして、三井不動産リアルティへお問合せください。


税務監修
税理士法人エーティーオー財産相談室

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