三井不動産リアルティ

Vol.82 2022 2月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
寒さが身にしみるこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
東京の2月の降雪日は1991年~2020年の平均で3.5日。年間で最も多くなっています。
そんな日への備えに、防水で滑りにくいビジネスシューズを一足用意しておくのもいいかもしれません。
それでは2月の「REALTY-news」をどうぞ。

投資・事業用不動産に関する情報誌「REALTY PRESS」を当社ウェブサイトにて公開中です。是非、ご覧ください。

REALTY PRESS

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今月のトピックス

Topics 1 Zillow、フリッピングでの巨額損失はアルゴリズムへの自信過剰から
Topics 2 分譲マンションの価格動向と注目されるパワーカップル
Topics 3 交通インフラのアップグレードによって、さらに向上する首都の利便性

Topics 1

Zillow、フリッピングでの巨額損失は
アルゴリズムへの自信過剰から

 アメリカでは、住宅をいったん買い取り、小修繕をした上で売却して利益を取るビジネスを「フリッピング」と言います。Zillowがフリッピングで巨額損失を出し、2021年11月、撤退を発表しました。ここではコンピュータに依存しすぎたZillowの失敗の経緯をご報告します。

 前回、フリッピングが盛んだったのは2000年代前半で、主役は「サブプライムローン」を利用した個人投資家でした。今回は事業として大規模に行っている会社が目立ちます。コンピュータをフルに活用しているので「アイ・バイイング」とも呼ばれています。

 フリッピングで大赤字を出したZillowはオンライン不動産検索サイトで有名なアメリカの企業です。また「ゼスティメイト」という非常に高い精度の価格査定プログラムを開発していました。

 2018年に「Zillow・オファー」と銘打ってフリッピングに参入します。ゼスティメイトによる査定価格よりも安く出た物件を買い、小修繕をしてから売却、利益を抜くわけです。売る時は売り主直売となるので、中古住宅売買に関わる面倒な手続きが大幅に簡素化できます。進出当時、Zillowは「自分たちほど住宅市場を理解している会社はない」と自信満々でした。

 ところが2020年後半から住宅価格が上昇し始めると思わぬことが起こりました。売り主への「Zillow・オファー」の提示価格が低くて競り負けし、買えなくなってしまったのです。

 競り負けの原因は、住宅価格の上昇速度があまりに速くて、ゼスティメイトが追い付けていないことでした。数か月前に決まった価格からの計算ではもう低すぎたわけです。

 Zillowはゼスティメイトの「係数」を修正し、高めの値段でのオファーが可能なようにし、同時に買い入れ戸数を大幅に増加しました。ところがこれが一種の暴走と似た状況を呼び、仕入れ戸数は2021年4-6月期は3,800戸、7-9月期は9,680戸にも上りました。その上、運が悪いことにこれが住宅価格上昇率のピーク時と重なっていました。統計では上昇率のピークは7月です。Zillowは全般的に「高買い」してしまっていて、従って同社の売り物件には取得価格割れの物件が多い状態になっていました。

 Zillowはどこかでこれに気づき、在庫を評価すると約5.6億$(644億円)もの巨額赤字に達することが分かり、2021年11月にフリッピングから撤退すると発表したわけです。

 全体として変な話です。最も奇妙に見えるのは「相場が上昇しているのに『フリッピングで損をした』」という点でしょう。同業他社はしっかりと利益を出しています。Zillowのゼスティメイトへの期待の仕方も変です。これは価格査定用のアルゴリズムであり、そもそも「買って売ることにベットする」ことに向いたものではないはずなのです。

 2021年度の決算発表時の補足的な説明に興味が持たれます。

(ドル=115円 2月4日近辺のレート)

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

分譲マンションの価格動向と注目されるパワーカップル

 最近、様々なメディアから「2021年の首都圏新築マンションの平均価格は1戸あたり6,260万円で、バブル期(1990年)を超えた」との報道が続いています。

 不動産経済研究所の発表によるものですが、もう少し細かく見ると、首都圏の市場の概ね4割強のシェアを占める東京23区の平均価格は8,293万円(最高記録は1991年の8,667万円)、坪単価は423.8万円となっています。平均価格は対前年比+7.5%となり、2019年以降、急激な上昇を継続してきました。昨今、東京23区内でマンション購入を検討する際には20坪で8,000万円以上、15坪でも6,000万円台の価格を視野に入れないといけない状況になっています。

 2010年代前半は年間2万戸程度の供給であったのが、2018年以降1万戸程度に減ったことで、需要と供給のバランスが取れてきたとはいえます。しかし昨今のこうした高価格には購入を躊躇する人も当然多いと想定されますが、ここ数年、分譲マンションの売れ行きは好調です。

 では、なぜ、このような価格にもかかわらず、売れ行きが良いのでしょうか?

 その一つの回答が、購入者属性の変化にあると考えられます。いわゆるパワーカップルの台頭と称されるものです。

 以前、DINKsという属性が注目されましたが、そのカテゴリー内にあるパワーカップルの定義としては、「夫婦とも大企業の正社員や士業等で世帯年収1,400万円以上」という収入レベルの高い世帯を指しています。

 そうしたパワーカップルの購入マインドは、2人での生活に必要な広さが確保されていること、都心の通勤先へのアクセスに優れていること、生活利便性が担保されていることが要件であり、これまで重視されがちであった「地縁性」や「子育て環境」「広さ」についてはあまり気にしていないように思われます。

 また低金利を背景に考えれば、夫の年収700万円、妻の年収500万円、合算1,200万円世帯と仮定した場合でも、年収の6倍まで借り入れができれば、都心の15坪7,200万円のマンションは十分購入できる価格帯となっています。

 これまでの分譲マンションにおけるターゲットは、夫婦と子供1~2人を想定した「ファミリー」でしたが、現在の東京23区の分譲マンション市場では「子育てをしない、車も持たない、高収入DINKs」といった、住まいに関して潤沢な資金を投入できるユーザーの増加がマーケットを支えています。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

新築分譲マンション 首都圏・東京23区の平均価格・首都圏供給戸数推移

Topics 3

交通インフラのアップグレードによって、
さらに向上する首都の利便性

再開発計画に加えて、交通インフラのさらなる発展によって、インバウンド・アウトバウンドをも視野に入れた都市機能の活性化が加速します。

「REALTY-news」をお読みいただきまして、
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