高さ150メートル以上ある超高層マンションは世界にちょうど2,000棟程度あります。本場のニューヨークから見て見ましょう。
最も目を引くのは、マンハッタンの通称ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)沿いの超高層マンション群です。セントラルパークの南端に近い、カーネギーホールがある通りです。超高層かつ超ラグジュアリーな新築マンションが密集しています。
この地区では背が高いかどうかの境目は「1,000フィート(304.8m)」です。最も背が高いのは来年竣工予定のセントラルパーク・タワーの1,423フィート(433.7m)で、これは高尾山をふもとから見上げた時よりも高くなります。ただし上の方は機械室で、居住部分で一番高いのはこれよりも低くなります。
このプロジェクトでは総額40億$(4,280億円)の売上げが見込まれています。しかしマンハッタンのラグジュアリーマンションの売れ行きは現在あまり調子がよくなく、このマンションもまだ40%が売れ残っていると言われています。
中国では土地が狭い香港はもちろん、北京、上海、深圳等でも盛んに超高層マンションが建てられています。「タワーマンション団地」といった感じのプロジェクトもあります。
超高層マンションの密集地としては中東のドバイがすごいことになっています。1000フィート(304.8m)を越すマンションが7本あり、800フィート、900フィート台のものも多数あります。超高層タワーマンションの「密度」では、ニューヨークを凌いでいます。
世界一の高さを誇るビル、ドバイのブルジュ・ハリファ(828m/808m)にはマンション部分もありその最上階は108階です。
ヨーロッパでは超高層マンションの数はぐっと減ります。そもそも伝統的に、「高層マンション」という住居形態があまり評価されていません。
パリでは高層マンションは少なく、高さ150m以上のものは1本もありません。パリジャンが評価するのは中心部のアパルトマンであり、これらは19世紀に街並みが完成した7階建て程度の石造りの建物群なのです。
ロンドンでは最近、事情が変わりました。ロンドン市が積極的に建築許可を出すようになって、ラグジュアリーな高層マンションの供給が増え、高層住宅に対して持たれていたネガティブなイメージが変わっています。それでも階数的には20階建てから30階建てまでくらいで、いわゆる「超高層タワーマンション」はまだ見当たりません。
($=107円 2019年9月10日近辺のレート)
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清