2020年8月6日に㈱不動産経済研究所が「2020年上期及び2019年年間の首都圏投資用マンション市場動向」を発表しました。
それによると2020年上期(1~6月)の供給は75物件3,484戸。前年同月比で物件数は5.6%増、戸数は9.0%増、平均価格は4.1%、坪単価は4.9%のアップでした。なお、2019年(1~12月)の供給は132物件5,977戸。平均価格は3,131万円(対前年比1.4%上昇)、平均坪単価は約390万円(同2.9%上昇)でした。供給戸数を見ると、2002~2007年は年間8,000戸以上の市場規模で、リーマンショックの影響が大きかった2009~2011年は年間5,000戸前後まで縮小しましたが、現状は年間6,000~7,000戸まで戻してきました。
2019年の実需用分譲マンションの供給約31,000戸に対し、投資用分譲は約6,000戸とシェアは低かった(19%)ものの、2020年上期で実需用分譲マンションが大きく減ったこともあり、実需用約7,500戸(コロナ禍の影響が大きい)に対し、投資用マンションは約3,500戸、シェアは約46%にアップしています。コロナ禍の影響で実需用分譲マンション市場には冷え込み感がありましたが、投資用マンション市場は順調でコロナの影響をあまり受けていなかったということになります。
元々、2,500万~3,500万円クラスの投資用ワンルームマンションは、首都圏では約20社の専業デベロッパーが開拓してきた市場です。「長期運用」「ローリスク・ローリターン」「現物投資」が特徴の投資商品であり、その販売においてはリピーターが中心となり、複数戸所有する投資家が多い等、安全な投資商品として認知されていることが、将来不安を感じさせる状況の中で高く評価された可能性があります。
投資用ワンルームマンションに対しては、開発規制が厳しいことが知られていますが、少子高齢化に伴う単身世帯の増加や、政治・経済・教育などの東京一極集中による単身赴任者の増加などを考えれば、今後も十分に需要は見込めます。
数年前に流行った相続対策のためのアパート開発とは違い、投資用マンションの立地は都心部が中心で、建物もRC造りが中心であることなどから見ても、長期投資先として今後も注目される商品といえるでしょう。
株式会社 工業市場研究所 川名 透