三井不動産リアルティ

Vol.61 2020 6月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
緊急事態宣言が解除され、日常が少しずつ戻ってくるなか、いかがお過ごしでしょうか。
窓の外に目を転じると、いつの間にか濃くなった木々の緑が涼しく感じられます。
自然のパワーをもらいつつも、用心を怠らないようにしたいものです。
それでは6月の「REALTY-news」をどうぞ。

投資・事業用不動産に関する情報誌「REALTY PRESS」を当社ウェブサイトにて公開中です。是非、ご覧ください。

REALTY PRESS

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今月のトピックス

Topics 1 実店舗型家電量販店の「ベストバイ」はなぜ元気なのか?
Topics 2 アフターコロナは近郊のコワーキング施設に注目
Topics 3 アジアの玄関口、活気あふれる福岡・着実に復興が進む熊本

Topics 1

実店舗型家電量販店の「ベストバイ」はなぜ元気なのか?

 不動産会社にとってどの会社が元気かは重要です。例えば「モールの魅力」には「テナント各店の魅力の総和」という面も大きいからです。不振なところが多い実店舗会社の中で、アメリカ最大の家電量販店「ベストバイ」が健闘しています。元気さの理由を見てみましょう。

 全米の家電業界の売上げはロックダウンの影響で前年の65%に減少しました。ベストバイも3月に店の売り場を閉鎖しましたが、オンラインで受けた注文は店舗の外にある専用の受け渡し場所で客に渡していました(これは最近、流行の形態です)。このような状態であったのに4月の売上高は前年比でわずか6%しか減少していないのです。

 ウォルマートやターゲットの家電売り場と比べるとベストバイの価格は少しだけ高めで、さらに最大の敵、アマゾンには負けています。家電やパソコン、ゲームなどはどこで買っても同じですから、価格で負けるというのは致命的なように思えます。おまけにウォルマートやターゲットは生活必需品も販売しているのでロックダウン中も開いていました。

 ベストバイが以前から勝負をかけていたのは、なんと「ショールーム」への投資でした。同時に顧客と店員との人間的つながりが太くなるような手立てにも積極的に投資しました。

 同社の顧客サービス制度の中では「ギーク・スクワッド(PCオタク部隊)」が有名です。顧客の家に技術者が訪問して、60-90分をかけて対面で操作等の手助けをします。製品のセットアップや修理、あるいはその家に合わせた家具や家電、器具のレイアウトや選択の相談にも応じます。店舗内で予約制のコンサルティングも実施し、ここでは実物を見ながら使い方の説明も聞けます。「ショールーム」への投資が大きく活きています。

 もちろん、これらが有効だったのは長年かけてつちかってきた「ベストバイ」というブランドがあればこそなのですが、ほかの大手小売会社にはブランド力を活かせなかったところが多数あります。シアーズ、トイザラス、フォーエバー21、ニーマン・マーカス、JCペニーなどは大変な知名度がありながら、みな破産申請に追い込まれてしまいました。

 ちなみにベストバイにとってこの度の新型肺炎はビジネス面ではチャンスになりました。家の中に閉じ込められた人々が、同社からパソコンやゲームを買ったのです。外食が減って家庭での料理が増えたために小型の調理器具も売れました。さらに同社は昨年、フィットネス用品の販売に力を入れていたのですが、これも運動不足の解消をしたいというニーズから売れました。

 顧客とのつながりを大切にしてきたおかげで、ベストバイは逆風をチャンスにできたわけです。

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

アフターコロナは近郊のコワーキング施設に注目

 新型コロナウイルス感染症の収束にはまだ時間がかかりそうです。日本も経済的に大きなダメージを受けることは必至で、ご存じの通り、いかに今後の経済対策を構築するかに注目が集まっております。飲食店などを中心に店舗の家賃負担軽減策なども検討されており、アフターコロナの世界ではオフィス、店舗ともに、様々な面での見直しが必要となるでしょう。

 一方、半強制的に在宅勤務やテレワークへの対応が求められ、当初は戸惑いながらも『通勤しないでも(ある程度は)働くことに対応できるようになった』ワーカーたちの間では、コロナ禍が落ち着いた後も通勤しない働き方を続けたいと考える傾向が強まってきました。

 しかし、この度の急なテレワークに際しては、家庭内に執務スペースを確保することが容易ではないという声が多く上がっており、「どこで働いたらいいか?」は大きな課題になっています。このような声に応える格好でコワーキング施設が注目されており、3密化しやすいという理由で営業自粛した多くの施設も、対策が確立されれば、通勤を軽減したいワーカーからの需要が確実に高まると考えられます。

 ところが、今のところ、快適なコワーキング施設の多くは都心部に立地しており、それらを利用しようとすると都心に出ざるを得ません。都心ではない自宅の近くでのテレワークとなると、ネットカフェ等も一応候補にはなりますが、よりビジネスニーズに比重を置いた環境やインフラが必要とされるので、近郊部こそコワーキング需要が高まっていると思われます。

 例えば近郊の駅前ビルをコワーキング施設に改修するには、さほど大ごとではないリノベーションで対応できるので費用も低めに抑えることができ、いきおい賃料も都心に比べて低価格設定が可能です。政府が提唱する今後の「新しい生活様式」を考えたときにも、コワーキング施設としての駅前などの中・小規模ビルへの投資も将来性が高いといえるでしょう。

 テレワークの普及やオフィス機能の分散化等により、大企業もオフィス面積を削減することを考え始めたようです。この潮流は加速することも考えられますので、この新たな投資対象に注目してみるのも面白いかも知れません。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

各エリアのオフィスマーケット状況

Topics 3

アジアの玄関口、活気あふれる福岡・着実に復興が進む熊本

アジアの玄関口の九州北部で、世界と直結して成長してきた福岡市と、その熱が波及するような発展を見せる熊本市。全国トップの人口増加数を背景とし、大規模再開発という躍動を続ける福岡市と、復興と開発の両輪での加速を見せる熊本市のタイムリーなレポートです。

「REALTY-news」をお読みいただきまして、
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