三井不動産リアルティ REALTY news Vol.120 2025 4月号

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REALTY PRESS
TOPICS 1

南北線の延伸・品川地下鉄構想

 近年、鉄道各社では直通運転や相互乗り入れが活発になっており、今後の計画としては2030年ごろに予定されている東京メトロ南北線の白金高輪駅から品川駅までの直通路線分岐延伸での開通が大きな話題になっています。

 JR主要各線や東海道新幹線等が通り、リニア中央新幹線の東京側の起点ともなる品川駅は国際競争力強化の拠点として大規模再開発が進む高輪エリアの玄関口でもあり、今後ますます重要性を高めていくことが予想されています。この延伸は距離としては約2.8kmと短いものの、品川駅という主要ターミナル駅へのアクセスを新たに構築することにより、白金高輪駅で乗り換えができる都営三田線をも含めた沿線エリアのポテンシャルが高まっていくことが期待されています。

 このような鉄道の直通運転や相互乗り入れは、利用客増加に貢献するなどの直接的な収益面でのメリットの他、車両基地や保線作業などメンテナンス関連の諸経費を複数の鉄道会社で共用・協働することによるコスト削減を可能にします。また、異なった鉄道会社間で各種作業の標準化をすることによって、安全性や効率性の向上も図られます。

 路線の利用客にとっては、乗り継ぎや乗り換えのストレスが軽減され、所要時間が短縮されることによって進学先や勤務先の所在地の選択肢が広がるでしょう。さらに沿線の商業施設などでは従来より遠くからの来客も見込め、商圏を広げて考えることも可能になるなど、不動産のポテンシャルを向上することにも寄与します。

 2013年3月に東京メトロ副都心線・みなとみらい線・東武東上線の相互乗り入れが開始されましたが、早い段階からその効果は顕著に現れています。川越市で催された「小江戸川越春まつり」(同年3月30日~5月6日)の来場客数は17万5,930人と前年に比べ11万人近く増加、約2.6倍の客足となりました。 同4月分の出発地調査では神奈川県から訪れた人の割合が13.6%と8.0%だった前年同月に比べ上昇※するなど、相互直通運転によって横浜・川崎方面からの観光客が増加し、通勤や通学以外の観光目的での経済効果も見られています。

 なお、川越市の公示地価の推移を見ると、2014年以降2024年まで、コロナ禍の影響と思われる2021年を除き全ての年で前年を上回る数値を継続しています。

※日本経済新聞 2013年5月14日掲載記事参照 https://www.nikkei.com/article/DGXNZO55033410U3A510C1L72000/

REALTY INSIGHT
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TOPICS 2

BtoC-EC市場の拡大が新たな需要を創出

 2024年9月に経済産業省が発表した「令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2023年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模(国内)は前年比+9.23%の24.8兆円と堅調に上昇しています。BtoC-ECの分野は、物販系、サービス系、デジタル系に分類されており、物販系は食料品や生活家電、雑貨、家具、衣料品などのオンライン上取引、サービス系は旅行や金融などの“窓口で受けていたサービス”や、飲食や理美容の“予約サービス”のオンライン上取引、デジタル系は電子書籍や有料音楽配信などのオンライン上取引を指します。

 2023年の分野別市場規模は、物販系で14兆6,760億円(前年比+4.83%)サービス系は7兆5,169億円(同+22.27%)、デジタル系は2兆6,506億円(同+2.05%)でした。これまで同様、物販系のECは堅調ですが、ここに来てサービス系の市場規模の急拡大が目を引きます。

 サービス系分野が伸びている理由としては、コロナ禍による行動制限により「店を予約する」という習慣が根付いたことが大きいといえます。店を訪れるにはまず予約、銀行窓口に行くにも予約が必要という時代になると同時に、電子商取引システムが発達し、携帯端末などから様々な取引が可能となったことも急拡大に繋がったといえます。

 小売業では、実店舗とECの相乗効果による販売の模索の途上、コロナ禍によってECが先駆けする状態になっていましたが、コロナ後の人流回復に合わせて、実物とのタッチポイントの役割としても実店舗のニーズが高まっています。

 物販系のEC規模は2014年以降右上がり状態を続けてはいるものの、そのEC化率は2024年時点でも9.38%に過ぎず、今後のポテンシャルを鑑みると、ECマーケットにアクティブに対応する物流倉庫や運送体系、またそれを円滑化するインフラやシステムなどに関する需要はますます拡大すると思われます。

 一方で、市場の伸びも大きいサービス系の分野では、物販系ほど大きな倉庫や多数展開する店舗といったスペースの必要性は高くはないですが、情報の受発信のオペレーション拠点として、先進性の高いオフィスのニーズ増大が見込めます。

 このように今後さらに市場拡大が継続するBtoC-ECは、不動産マーケットにおいてもいろいろなカテゴリーを活性化していくことが期待できます。

BtoC-ECの市場規模と物販系分野EC化率推移
賃貸オフィス
TOPICS 3

CRE戦略として企業が導入する木造高層建築

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