三井不動産リアルティ REALTY news Vol.101 2023 9月号

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REALTY PRESS
今月のトピックス TOPICS
1 コロナ禍で変わったREITの不動産運用
2 2024年問題とトラックドライバーの処遇改善
3 不動産分野で活用が広まるグリーンボンド
TOPICS 1

コロナ禍で変わったREITの不動産運用

 REITと呼ばれる不動産投資信託は、現在22兆円超の不動産を運用しています。REITは上場商品であるため、投資家は株式と同様に市場で投資口(株式に相当)を売買できます。

 REITが保有する物件が毎月の賃料収入等で収益が安定している点、株式投資とはリスクが異なり、小口で不動産投資ができる点から、分配金(株式における配当)を受領できるインカムゲインの投資商品として、個人投資家にも広く浸透しています。

 今回は、3年超にも及んだ新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制約等の環境変化が、REITの不動産運用、なかでも最も資産規模の大きいオフィスの運用にどんな影響をもたらしたかをまとめます。

 オフィスビルは、コロナ禍によるリモートワークの進展や企業業績の悪化により、特に貸室面積の大きい大手企業の解約が相次ぎ、都心では汐留・晴海・芝浦・品川シーサイド・天王洲・川崎等の湾岸エリアで比較的需要の弱い傾向が見られました。

 一棟貸しのテナントが退去すると、稼働率はゼロとなり、収益を生まないばかりか赤字になってしまいます。そこでオフィスを運用するREITは、立地や築年数、建物のスペックが劣り、長期間にわたって空室リスクの高い物件をスポンサーや外部へ売却し、代わりに立地や築年数、スペックの優位な物件を取得するポートフォリオを入れ替える戦略を講じました。

 一般的に賃貸市場が低迷している時期は不動産価格も下落するため、売買も低調となります。しかしコロナ禍で金融緩和が進んだため、賃貸市場が悪化したにもかかわらず、不動産価格は一段と高い水準となりました。

 この異例とも言える不動産環境を活用し、ポートフォリオの一部を売却し、賃貸収入の減少を売却益で補填する動きや、売却益の一部を内部留保して将来の減配リスクに備える動きが進みました。なかには売却損となる物件もありましたが、売却益と相殺することで減配を回避するケースも見られました。

 このようにREITはインカムゲインの投資商品と言われますが、コロナ禍によって、将来的なリスクを排除するために、不動産価格の高い時期に含み益を実益化し、キャピタルゲインを獲得するという戦略に軸足が置かれました。

 足元では5月に新型コロナウイルスが5類に移行後、オフィス回帰の動きから拡張移転や増床ニーズが増え、REITのポートフォリオの稼働率は底を打ち、回復基調にあります。

 しかしこの先に目を向けると、2023年と2025年は都心で大規模オフィスビルが相次いで竣工し、オフィスの需給が緩むことが想定されています。テナントに選ばれる競争力の高い物件と競争力の劣る物件の二極化がますます続くことが考えられ、REITのポートフォリオ入れ替えがますます続くことが想定されます。

アイビー総研株式会社 藤浪 容子

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TOPICS 2

2024年問題とトラックドライバーの処遇改善

 既に報道などでもみられる通り、「2024年問題」は、これまで適用が先延べされていた運送業・建設業等に、労働時間の上限規制が適用されることで起きる諸問題のことを指します。

 これにより、長時間労働しなければ立ち行かなかった業界では労働力不足に陥り、様々な障害が生じるだろうと予測されています。

 特に運送業については「宅配業者が長時間働けなくなる」点がクローズアップされていますが、最も深刻であるのは、BtoB中心で日本の輸送量の約8割を占める「大型トラック(最大積載量6.5t以上)輸送」に関する問題です。

 大型トラック輸送の用途は完成品のほかに、原材料等の輸送を含むため、長距離が多くなりやすく、長時間勤務が多くなりがちです。既に物流大手ではドライバーのリレー方式を採用するなどして、労働時間を規制の範囲内に収めるといった施策を行っていますが、 “歩合給を採用しているケースが多い中小企業”のドライバーは、労働時間が収入に直結するため、時間外労働の上限規制導入により離職者が増えることが懸念されています。

 この問題の本質は、現在必要とされている物流量を維持するには、規制によって個人の稼働が減少する分、ドライバーを増員しないといけないというところにあるにもかかわらず、その実現のメドが立っていないことです。ドライバーの収入レベルの向上や、運賃の引き上げによる受注量減少懸念などは、深刻度合いにおいてはまだ解決可能な領域にあると考えられています。

 最も理想的な解決策は“トラックドライバーという職業が収入的にも就業環境的にも優良と認識されて、新規の就業者が増える”ことですが、現状定着している「長時間勤務のきつい仕事で低収入」というイメージを払拭するのにはまだ時間がかかりそうです。

 それ以外には「荷台連結型の超大型トラック等を開発し、一人当たりの輸送量を大きく引き上げる」や「ドライバーなしの完全な自動運転輸送を実現する」、「鉄道輸送を併用し、トラックの利用距離を少なくする」などの諸策が考えられますが、鉄道利用案以外の実用化にはまだ時間を要する見込みで、2024年問題に向けての即効性はありません

 また、トラックドライバーの業務の拠点ともなる物流倉庫については、例えば東京都市圏では庫齢30年以上になる施設が半数※に達していて、ドライバーの労務効率を低下させることも懸念されています。搬出入をスムーズにし、時間短縮を実現できれば、物流コスト低減にもなるでしょう。加えて、環境対策や災害に絡むBCP体制等、今後ますます物流倉庫に求められるインフラ要件は増大していきます。

 運送従事者の地位向上や物流施設のグレードアップにより、2024年問題を乗り越え、物流業界の安定化が期待されています。

※国土交通省 物流をめぐる状況について 2015/4/30 参考資料④より

株式会社 工業市場研究所 川名 透

トラック運転者の有効求人倍率
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