三井不動産リアルティ REALTY news Vol.99 2023 7月号

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REALTY PRESS
今月のトピックス TOPICS
1 海外のメディアでよく出てくる日本のリゾート地・観光地
2 少子高齢化がオフィス市場に与える影響
3 人流回復で、上昇基調にあるホテル、
SCが牽引するマーケット
TOPICS 1

海外のメディアでよく出てくる日本のリゾート地・観光地

 日本の「インバウンド関係」がどう報じられているか、海外のメディア5紙からつまみ食いでご紹介しますが、その前に気になる直近の動きを一つだけご報告します。

 中国勢の動きなのですが従前の中国本土と香港と台湾に加えて、今後はシンガポール発の資金にも注意すべきようです。習近平が唱える「共同富裕」の実態は「富裕層締め付け」であることがはっきりし、大量の中国人富裕層がエクソダスを図りつつあります。顕著な動きはシンガポールで見られ、中国人の投資会社が現在、続々と設立されているところです。

 これらの中国系投資会社はまだ本格的な投資を始めていません。しかしこれが始まれば日本の不動産も有力な投資先の一つとなることは明らかです。最有力なセクターであるホテルでは動きがもう以前から始まっていて、例えば熱海の老舗旅館「つるや」跡地の再生は香港資本が行いました。しかし中国資本がバックにいる可能性は十分に想像されます。

 さて、海外のメディアでよく出てくる日本の観光地をざっぱくに見ていきます。

 北海道のニセコは、もう世界的にもメジャーなスキーリゾート地となっています。

 青森県の酸ヶ湯温泉はこのような豪雪地帯に人が住んでいる点で世界的にも稀です。ちなみに長野県の地獄谷温泉で、サルと並んで入浴する写真が定番だった時期がありました。

 岩手県の盛岡は先日、ニューヨークタイムズが発表した旅行先ベスト52の2番目に出ていました。新幹線で東京からすぐだという点と、街の規模がコンパクトで「歩けるサイズ」という点が高く評価されています。

 盛岡と似た感じで過去に2回出てきたのが「日本でもっとも癒される港町」を標榜する広島県の「鞆の浦(とものうら)」です。記者の「癒され具合い」が伝わる「名文」でした。

 富士・箱根・熱海の観光案内所は6ヶ国語対応ですが、世界的にはこの程度は当たり前です。

 伊勢神宮・那智・熊野古道はスピリチュアルな物に関心を持った外国人が訪れます。訪日経験が何回かあるという人は勿論、「初めての日本が『伊勢神宮』だ」という人もいます。

 熊野古道は先日、「2週間歩いた」という人のルポが出ました。これほどの長距離のルポは初めてなのですが、「熊野古道」の話より「人生の思い出」を振り返った部分の方が長い記事でした。

 京都は別格です。「できれば『お金持ち』だけに来て欲しい」という正直な話がありましたが、京都に限らず、超人気観光地の地元の住民が同じ思いを持つ例は世界に多くあります。

 「おおさかのオバちゃん」のキャラは世界的にも知られていて、彼女たちはとても親切に道を教えてくれるが、実は「教えながら自分たちが楽しんでいるのだ」と見破られていました。

 下関のフグは英語では「毒の魚」と書かれ、これだと食べるのに確かに勇気がいります。

 福岡も先ほどの旅行先ベスト52の19番目に登場、屋台とラーメンが魅力なようです。

 本稿をまとめながら気づいたのは、世界にはもの好きな人が随分と多いということと、世界的に有名なメディアはどれも、その読者は大した金持ちではなさそうだということです。プライベートジェットや自分のヨットで訪日する話は、一つもありませんでした。

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

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少子高齢化がオフィス市場に与える影響

 前月に続き、国立社会保障・人口問題研究所発表の「日本の地域別将来推計人口」を基に人口減少期のオフィスマーケットを考えます。

 まず、首都圏(1都3県)と近畿圏(2府1県)で2020年からの20年間で生産年齢人口(14~65歳)推移予測を見ると、首都圏は約295万人の減少、近畿圏は約209万人の減少が見込まれています(居住地ベース)。

 これまで首都圏と近畿圏は、元々のワーカー数が多い上に、地方からのワーカー流入が増加し続けていることから、ワーカー数が減ることはない=オフィス需要が減ることはない、と考えてきましたが、国内の生産年齢人口減少に歯止めが利かなくなっている現状からは、大都市圏においても、ワーカー数の減少は避けられないものとしなければなりません。加えて、人口減少の対抗策を含めた「DX化の推進」や「AI業務の拡大」等が推進されることで、オフィスワーカーの減少がバックアップされ、オフィスの“広さニーズ”は減少するものと予想されます。

 しかしながら、事業推進のためにはある程度の人員(特に企画部門などのブレインワーカー)は必要です。市場のグローバル化の進む現在では海外からのワーカー確保・増員も必要になってくるでしょう。

 それらのことを鑑みると、これからのオフィスは日本式の広いオフィスフロアに机を並べて…という形から、アシスタントクラスから半個室を与えるといった欧米式のフロア構成に変わっていく傾向が強まります。多国籍・多言語でもコミュニケーションが取れる翻訳機能が組み込まれたシステムや、国内・国外に関わらずWEB会議が標準化することへの対応や、内外のネットワーク全体でのセキュリティの構築などが必要となります。これまで日本人をメインに想定し、構成されていたオフィス形態をグローバル基準に転換していかなければなりません。

 最近の大型ビルに入居する企業などでは、すでにオフィス内に健康管理を意識したフィットネス導線を設けるなどの新しい取り組みを始めています。これからの日本のオフィスは、今までのように「従業員一人当たりの面積」をベースにしてスペースの算出をするべきではなく、「ゆとりを持った業務スペースの確保+会議室を含めた共有スペースの充実+α」と言った「個々の働き方に合わせた、業務効率を向上させる面積構成」をベースに、特に“+α”を重視し、企業のこれから、従業員のこれから、社会のこれからなどの面からの、様々な予測をもとに組み立てていかなければなりません。

 今後のオフィスのあり方は、「ビルの規模」、「柱のない広いフロア」、「高品質なIT環境」、「管理状態の良さ」など、従来のオフィス評価ポイントが高い物件を優先するだけに留まらず、経営者・従業員がともに納得するワークスペースとしてのオフィス開発・提案がより重視されていくと考えます。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

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TOPICS 3

人流回復で、上昇基調にあるホテル、SCが牽引するマーケット

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