三井不動産リアルティ

Vol.41 2018 10月号

REALTY - news

いつもお世話になっております。三井不動産リアルティ REALTY-news事務局です。
秋たけなわのこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
10月からインフルエンザの予防接種がはじまります。抗体ができるまでに3~4週間かかるといわれており、
最も流行しそうな1月に備えて早めの接種が推奨されています。早めに対策し自信をもって冬を迎えたいものです。
それでは10月の「REALTY-news」をどうぞ。

今月のトピックス
Topics 1 ロンドンの住宅市場の不調がイギリス全体に伝播
Topics 2 なぜ日本に5つ星ホテルが少ないのかを考える
Column 文化の発信拠点となって大いに賑わった娯楽の街

Topics 1

ロンドンの住宅市場の不調がイギリス全体に伝播

 ロンドンの住宅価格はこの10年間で倍になっていますが、しばらく前から値下がりが始まりました。最初に崩れたのはチェルシー、メイフェア、ケンジントンといったセントラル地区にある超高級住宅の市場で2014年の秋からパタッと売れなくなり、このセグメントから値下げが始まったわけです。
 これが順繰りに伝播しロンドン全般で価格下落する状況となり、それが今、全国へ伝播しています。但し、イギリス全体では前年比での価格上昇率はまだプラスの領域にあり、スコットランドのエジンバラのように前年比20.9%と、活況な地域もあります。

 ロンドンの不調さの要因を挙げると、まず「ブレグジット問題」があります。
 ブレグジットによりロンドンの金融業が縮小すれば、金融業従事者という高所得層も減少する可能性が高く、これは住宅市場の一番上の層の需要が減ることを意味します。もう一つの影響は「ブレグジットに伴う不確実性」という問題で、どのようなことになるかが分かるまでしばらく動くのはよそうという心理です。
 スタンプ税の強化も非常に痛く、これをロンドンの住宅市場の不調さの最大の原因とする不動産業者も多くいます。「スタンプ税」というのは登記の書類にハンコ(スタンプ)を押してもらうための手数料です。日本では登録免許税の支払いの際に「印紙」を買ってハンコを押しますので「印紙税」と訳されることがありますが、税率が変更された事はないのではないかと思います。一方、スタンプ税の場合は住宅市場に関する政策手段の一つとして税率を簡単に変えてしまいます。イギリスでは住宅価格上昇を止めるため、一時期スタンプ税を大きく引き上げました。この結果、買い控えがおきているという指摘なわけです。

 中国人の投資家が一時の勢いを失ったことも響いています。中国勢は大口の著名ビルとしては、シティの「チーズグレイター」「トーキーウォーキー」を取得しました。これらにはポンド安で割安になったからという面もあります。現在、中国勢の投資が激減しているのは主として中国の国内要因からで、今のところ、これの回復の見込みはありません。

 状況を変える可能性があるのは、ロンドンを貫いて東西118kmを走る鉄道新線クロスレイル(エリザベス線)です。ロンドン部分の開業予定は当初は今年12月でしたが、来年秋に延期されました。この鉄道が開通すれば、ロンドンの不動産市場は大きく変化するものと思われます。

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

Topics 2

なぜ日本に5つ星ホテルが少ないのかを考える

 今年の2月に、5つ星の格付けとレビューを提供する「フォーブス・トラベルガイド」が、2017年度の格付けを発表しています。日本では調査対象エリアを東京に加え京都・大阪に拡大した結果、19軒のホテルが星付きとなりましたが、5つ星を獲得できたのは「マンダリン・オリエンタル東京(3年連続)」、「パレスホテル東京(2年連続)」「ザ・ペニンシュラ東京(2年連続)」の3軒のみに留まりました。アンダーズ、アマン、コンラッド等、世界でも知られた高級ホテルチェーンが日本(東京)にはいくつもあるものの、その多くが4つ星どまりとなっています。
 ちなみにフォーブス・トラベルガイドが全世界で5つ星評価をしたホテルは175軒で、最も多かったのはマカオとパリ(各10軒)、次いでロンドン(9軒)、香港(8軒)で、規模からすればやはり日本は少ないといえるでしょう。

 なぜ日本に5つ星ホテルが少ないかという考察について、有識者であれば「日本におけるホテル文化がまだ未成熟だから」と回答すると思われます。もちろん、日本のホテルマンが未熟ということではありません。勤勉さという面では、世界でもトップクラスとなる優秀な人は多いのですが、日本ではホテルマンの人気は収入というステータスの面では、海外に比べて低いと認識されているようです。
 その理由は「個人的な評価と収入の高さが一致していない」ことにあるようで、単刀直入に言うならば、チップ(心づけ)という文化の定着度が低いことが大きいからでしょう。
 ご存知のように日本のホテルではチップを必須の習慣としていません。それでも滅多に支障は起こりはしませんが、反面、サービスも高レベルとはいえ均一化してしまうことが多いようです。
 一方、海外では個人の頑張りがチップという対価で得られるシステムを採っているところが多いため、努力次第で多額のチップという高収入につながります。勢い、ホテルマンがチップの額の大きい富裕層の満足度を高めるサービスをより熱心に工夫することになり、特別感を求める富裕層からの評価を獲得することで相乗的にホテルのレベルが上がっていくということです。

 ホテルとしてのコミュニケーション上にある「人」こそがホテルの格を向上させていると考えるべきで、そうなると日本でも「サービスの対価」を、個人が確実に手にできるシステムに変更する方が、グローバルスタンダードに近いのではないかとも思えます。

株式会社 工業市場研究所 川名 透

フォーブス・トラベルガイド 2017 日本-ホテル部門

Column

文化の発信拠点となって大いに賑わった娯楽の街

明治末年頃浅草六区周辺 国立国会図書館 蔵

明治末年頃浅草六区周辺 国立国会図書館 蔵

 江戸から明治へ。明治11年の郡区町村編制法による東京15区の成立を経て、浅草区が誕生します。時を前後して明治6年、近代日本への礎が築かれていく中、万人偕楽ノ地となる公園地の設置が決定され、浅草寺境内も浅草公園に指定されました。これにより一区から七区に区画割りされ、一区=浅草寺本堂周囲、二区=仲見世、三区=浅草寺本堂と伝法院敷地、四区=林泉池、五区=奥山、六区=興業街、七区=公園南東部に馬道周辺(後に公園地から削除)。ここからさまざまな文化が生み出されていきました。

 日本初の遊園地となる浅草花屋敷(現:浅草花やしき)。明治23年に完成し、後の関東大震災で倒壊するまで浅草のシンボルタワーとして話題を集めた凌雲閣、通称、浅草十二階には日本初の電動式エレベーターが採用されました。その中で最も賑わいを見せたのが六区です。初期は奥山から移ってきた芝居や演芸、見世物小屋などが並んでいましたが明治20年、大正期に浅草オペラが生まれた常盤座が開業。明治36年には日本初の活動写真専門館となる電気館が開館するなど、続々と劇場や映画館が誕生しました。

 昭和2年には、東洋初の地下鉄駅となる東京地下鉄道の浅草駅が開業。昭和6年、東武鉄道が延伸により浅草雷門駅(現:浅草駅)を開業させたのを受けて松屋浅草店がオープンし、デパート初となる屋上遊園地プレイランドを開園。同年には桜の名所として知られる隅田公園が、関東大震災の復興公園として開園します。さらに昭和12年には、松竹歌劇団(SKD)の本拠地となって人気を博した浅草国際劇場が開業するなど、映画・軽演劇・レビュー・演芸をはじめとする多種多様な娯楽を求めて多くの人々が浅草に集まりました。
 しかしながら高度経済成長期を迎えた頃から、浅草は時代の波に取り残され、翳りを見せ始めます。劇場や映画館が次々に閉館していく中、観光名所としての浅草寺だけではない、集客への打開策が大きな課題となったのです。

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